アメリカで、もっとも行くのが難しい所の一つ、それが、ザ・ウェーブ(The Wave)
その地形の美しさを一目見ようと多くの人が訪れるようになり、エリアを保護するためにBLMが1980年代に一日の訪問人数を20人と定めたからだ。
しかも、The Waveを見に行くことができるのは抽選で当たった人のみ。
そのうち10人がインターネットの抽選で、他の10人が当日の抽選で選ばれる。
日によっては100人以上が当日の抽選に参加するというんだからすごい。
私たちは、まあアメリカに住んでるし、また息子が大きくなったらピーク時を外して抽選に参加してもいいかなと思っていたので今回The Waveへの挑戦はパスすることに。(当たるとも思えないし)
しかし、この周辺にはホワイトポケット(White Pocket)と呼ばれるThe Waveとはまた違った面白い地形のエリアがあるらしい。
しかも許可を取る必要がないという。
じゃあ、そこに行ってみよう!
しかし、行き方などのリサーチを始めた私たちの前に最初の難関が立ちはだかる。
ホワイトポケットに向かう道は砂でおおわれていて、馬力のある4WDのジープやトラックじゃないとたどり着くことができないというではないか。
私たちのバンは2WDでしかもキャンパーだから重い。馬力もない。
でも、行きたい!
そこで、Blazがいろいろ調べたところ、2WDでも行ける道を紹介しているブログを発見。
結構回り道になるし、往復6マイル(約10キロ)くらい砂の道をハイキングすることになるらしいけどそれでも行きたい!
というわけでその情報を信じて行けるとことまで行ってみることに。
早朝からハイキングできるように、前日はユタとアリゾナボーダーの境にある無料キャンプ場で一泊。
こんな道を走る。
翌日、雲がちらついていて暑すぎず、ハイキング日和!
さて、待ってろよ!ホワイトポケット!!
ブログの情報通り脇道に入り、しばらく進む。まだ砂利道で問題ない。
なんか、次のターンが見つからないと思っていたら、道を間違えていたことが発覚。1マイルほど戻る。
情報にあった通りの道に入って少し走ると、ん、なんか砂っぽくなってきたぞ。
なんか、砂が深くなってきたけど、ねえ、これ大丈夫?
と、言っていた矢先、前方に砂の深みが。これは、絶対はまる!!!!
坂道の勢いを利用してその深みは突っ切ったものの、次の砂場にはまった・・・。
チーン。
あーあ。。。
と、はまったタイヤを掘り起こしてタイヤに噛ませるものを探す。そこらに落ちてるのは乾いた木の枝ばかり。
どーすんのこれ。
と、そこに後ろから赤いジープがやって来た。
そこから出てきたのはなんと日本人のカップル!まさかこんなところで日本人に恥をさらすことになろうとは・・・。
彼らはちゃんと事前調査を怠らず、レンタルのジープにスコップを持参していた。
そのやさしいカップルの手を借りて掘る掘る掘る。
その少しあとでまたもう一台車が。
聞いたところ、この道はサウス・コヨーテ・ビュートに向かう道らしい。
このサウス・コヨーテ・ビュートも抽選制で一日限定20名。
The Wave(ノース・コヨーテ・ビュート)に比べると人気が低いため抽選に当たる確率が高い。
この日も、抽選場には30人ほどしかいなかったんだとか。
せっかく抽選に当たったんだから、と、後から来た車には先に行ってもらった。(明らかに迷惑そうな態度をしていたし)
でも、この日本人のカップルはしばらく私たちに付き合ってくれ、Blazを電波のある所まで乗せて戻ってくれたりもした。なんて優しいひとたち・・・。
Blazがいろいろ電話をかけてみたところ、助けに来ることができるという人を発見。
でも、最低$600はかかると言われ、それなら自分でもうちょっと掘ってみるわー!と息巻いて帰って来たBlaz。
さすがに申し訳ないので日本人のカップルにも行ってもらった。また帰り道に会うかもねー。なんて冗談を言いながら・・・。
1時間以上付き合わせてしまってほんとすいません。
そこから、Blazは子供がビーチで遊ぶ用の小さなバケツを使ってタイヤ周りを掘り、石や枝をその下に詰め込んでみたりして脱出を試みる。
私は、周辺を歩き回り使えそうな太い枝をかき集め、砂から抜けた後にまたはまらないようにその先の道に敷き詰める。
息子はその憎らしい砂の上でおもちゃの車を走らせて嬉しそう。
そんなことを繰り返していたら、
痛-っっっ!!!
私の背中の脇あたりに、なにかに刺されたような痛みが走った。
砂を掘りおこしているBlazに見てもらったら、ハチの針が刺さっているという。
なんでこんなタイミングで蜂に刺されにゃならんのだ。。。
しかも、私は過去に蜂に刺されたことがない。(というか覚えがないだけかも)
もし蜂にアレルギーがあったら瞬殺されちゃうんじゃなかったっけ・・・?
ジンジン痛む背中を押さえつつ、ここで蜂アレルギーで死んでしまったら間抜けだなあ。。。とか考えていたけど30分してもなんにも起こらなかったので一安心。
うずく蜂刺されの箇所をかばいつつ再び枯れ木を集め始める。
何度もやり直し、バンをスタートさせてみるも結果はむなしく惨敗。
砂にはまったのが10時頃で、太陽はもう私たちの真上にあった。
昼寝の時間が近づきぐずり始める息子と、実りのないチャレンジにいら立ち始める私たち。
何度かタイヤが噛んで動くものの、砂を乗り越えるほどの力はない。
これは、ここでキャンプかな・・・。
そう思っていた3時すぎ。
来た道の反対側から一台のトラックがやって来た。
こちらもサウス・コヨーテ・ビュートの抽選に当たってコロラドから来たというグループで、帰り道とのこと。
けん引用のロープを携帯しているというので引っ張ってくれることに。
救世主現る!!!
タイヤ周りを掘りすぎてかなり深くはまってしまった私たちのWestyを、いとも簡単に引っ張り出してくれた100万馬力のトラック。
みんなで拍手喝さい!
私、感動して泣きそうになる。
そして、その後またはまったのでそれも引っ張り出してもらい・・・。
トラックの人たちは、心配だから、と固い砂利道に戻るまで前をゆっくり走ってくれた。優しすぎる・・・。
バンを引っ張ってもらっているときに仲間の女性にコヨーテビュートの事とか聞いてたら、
6時間も立ち往生していた割にずいぶん元気だね。
と言われた。(嫌味だったかな・・・?)
確かに。
1年も旅してると結構トラブルに慣れてくるというか。
この日も、水も食料も十分あってなんならこのままここでキャンプする覚悟だったし、サウス・コヨーテ・ビュートに行く道ならこんなトラックが通ってくれるんじゃないかな、っていう予感もしてたし。。
なんか日に日にたくましくなっていく気がするなあ。
なにはともあれ、無事その日のうちに抜け出せてよかったー!!!
いやー、しかしブログの情報なんかあてにならんね。
信じた私たちが大馬鹿だったわ。
次はジープを借りてリベンジする!
とか言ってる間にホワイトポケットも抽選制になりそう・・・。
ちなみにこの日は母の日で、トラックの人たちはみんなHappy Mother’s day!と言って去って行った。
なんと思い出深い母の日になったことか。
砂まみれの私たちは、この夜絶対にシャワーを浴びたかった。
しかし、泊まる予定していたキャンプサイトがシーズンオフでまだ閉まっている!!
そこで、仕方なくそこからまた1時間走ってシャワーのあるRVサイトに行く事に・・・。
踏んだり蹴ったりの一日だったけど、思い返してみるとなんか笑える・・・。
後から何度も話題になるのは、決まってこういうトラブルのあった日の事なんだよねー。
そして翌日、またペイジに戻るべくバーミリオンクリフ沿いを走っていたら、なんか面白い形をした岩が見えてきた。
Cliff Dwellers と呼ばれるここには、昔の人たちが奇怪な形の岩を利用して住居を作った跡が残っている。
狙ったわけでもないのにお揃いな二人。
バーミリオンクリフの岩は赤とピンクと白のコントラストが本当にきれいだった。
そうしてピンチから抜け出した私たちは、めでたくバンライフ1周年をむかえました。ワーイ\( ‘ω’)/
まさか、もう1年もたったなんて信じられない。
いろんなところに行ったなぁ。
息子は人生の半分ほどを旅して暮らしていることになるんだなぁ。
私たちの北アメリカの旅ももう終盤。
あと3ヶ月ほどサウスウエストを満喫したらシアトルに帰ります!
友達に会えるのが楽しみだー!!!